北村英治さん |
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今回河内スタヂオでレコーディングするっていうのはどういったきっかけだったんですか? |
実は、仲間のギターの宮之上貴昭ね、以前ここでレコーディングをしたのを僕は知らなかったんですよ。 だけどCDを聴いたらすごくいい音だしね。それで宮之上貴昭と話してて、 とてもやりたくなって、いままでレコーディングほとんどアメリカでやっていたんですけど、もう日本の中だったら、近いしね、こりゃあいいや 、すぐ(レコーディングを)やろうと思って、4月に宮之上貴昭と話をして、すぐ(河内スタヂオに)電話をしてくれてね、そしたら 今は農繁期でね田植えの時期で忙しいから って言うんです。
「何???」って聞いたら (河内は)農業をやっていて、合間に趣味で録音する(笑)
ちょうど5月の終わり、2人(宮之上と北村)のスケジュールが合って、又 田植えもすんだ頃だっていうので、それで(今回)来たんです。
クラリネットとギターだけのデュオのCDっていうのはね、無いんですよね。ちょっと変わった試みで、おもしろいんじゃないのかな って思い、 2人でやるんだから、2人で好き放題出来るから、時間的にもたっぷりあるし、 きっとおもしろいものができるんじゃあないかな って思い、来てみたらスタジオはいいしね、機材もすごいそろってるし、もう腕はいいし、
河内さんがもう うまいんだあ、実にね!
で又こういうロケーションでしょう。大潟村僕、始めて来たんですが、本当にのんびりしててね、良いところだなあ〜 、これだったならいい音が出来るだろうな こっちの腕前よりもね、環境で良いものが出来るんじゃあないかな って そういう風に思ったんですよ。
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具体的にこのスタジオの良いところって どんなところですか? |
日本のスタジオっていうのは、とても残響がないんですよ デッドに出来てるんですよ。
っていうのは、要するに、1つの楽器の音を何でもそのままリアルに録りたいということで、音楽を録りたいのではなく、音を録りたいっていうのが先行しちゃって、音がデッド(残響がない)になる。
ここに来たら残響がちょうどいい具合にあるんですよ。多すぎず少なすぎず。
ある程度残響があって、いい音で演奏している。 演奏者も気持ちがいい、デッドであるというスタジオでやると、とってもキツイんです。ところがここで演奏すると、すごい 気楽なの!
いい気持ちで、 僕なんか(クラリネットを)吹いていながら、「あっ、俺の音いいなあ」なんて、思いながら吹くでしょう、そうすると、かえってね、良いものが出来るんじゃあないのかな なんて思うんです。 |
レコーディングは集中して、かなりの時間やられてたということですが |
うん、そうです。集中する気持ちよさっていうのがあるでしょ。
僕みたいに年とってくると、集中する時間っていうのが、とても大事なんですよ。
集中してやってるとね、後、気持ちのいい疲れなんですよね。ダラダラやってる時っていうのは、もう良くないですよね。やっぱり、ある時間 パッと集中する、それが ポッと解放される 集中する。そういうのが良いみたいですね。 |
今回宮之上さんとのデュオって事で、 宮之上さんとは 10年来のおつきあいだそうですが? |
そうなんです 10年以上になりますよね。
僕、もう大好きなギタリストでね、人間も最高、音楽っていうのは人間性が出てきますからね。人間性も最高、音楽性も最高、 もちろんテクニックもスゴイし、そういう人っていうのは、なかなか いないんですよ。世界中どこいっても。 アメリカで演奏する機会が多いんですけど、ものすごく評判がいいんで、嬉しくてしょうがない。 音楽の世界ていうのは、年をとっていようが、若かろうが、一緒に演奏したときは本当に仲間なんですよ。
おたがいに Inspire(奮起)して 良い作品が出来るのかなって思います。
宮之上とやってると本当に最高ですよね。旅行してても楽しいし、いやなところが全然ない。 ただね、いやなところ っていうのは うますぎる んでね こいつ憎らしいな なんて思うところがあるんだけど。(笑)
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河内さんはいかがですか? |
河内さんがまた最高なの。 その2人のコラボレーション(協力関係)をしっかり とらえてくれる。
それが嬉しいですよね。 それで本人は「何にもしないんですよ、ただ音をそのまま録ってるだけ」って言うのです。その技術は素晴らしいですよね。
互いに信用の出来る人が、やると とても内容のいいものが 録れるのかな。
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今回どんな作品に仕上がるのでしょうか? |
まあ、けっこう楽しい、それで ほのぼのとした曲もあれば、けっこうスリルいっぱいの曲もあれば、
今回考えていたのは、色んなところで演奏して リクエストの曲が非常に多いのがあるんですよね。 そういう曲を中心にして、組み立ててみようかなと思ったのと、 今あまり人が顧みないような古い曲 でも とても素晴らしい曲があるんですよね。 そういうものを入れてみたり、それから 宮之上貴昭のオリジナル、僕のオリジナルの曲も1つずつくらい入れようかと、いうことで、楽しい音楽を配達できればな、と思って タイトルも今考えたのは Delivery っていうのにしたの。
あっ、タイトル決まったんですか?
出前ですよ 出前 。もう家庭に持っていってもらおうと、そういう感じでやってみようかな。
ここに来たら空気は美味しいし、水は美味しいし、景色は良いし、そしたらこの風景をちょっとジャケットにして、やったらいいのかなって
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ジャケットを自らお描きになるんですか? |
デザイナーの方がこんなのどうかな? って色々やってくれるんで、それを又 じっくり時間をかけて描いてみようかな って思うんですよ。全部手酌でやるっていうのがすごくおもしろいんですよね。
僕は自分のCD、自分で絵を描く これ楽しみなんです。下手な絵でもいいんだ そう思うんです。
下手な絵でもいいんだ っていうのはね 気持ちが入ってれば いいんだよね 音楽をやる人間は それが いいんだ きれい事をして、きれい事に見せるんじゃあなくて、本当の姿を見てもらったら、それでいいのかな って、下手な絵でも 臆面もなく描いちゃうんですよ。
大潟村がどのように北村さんの手に掛かって描かれるのか っていうのが すごい楽しみです。
全部は描けないですからね、ほんの部分的に・・・
例えばどんな感じでしょうか?
羊がいるんですよ。その羊がいて ポプラの並木なんかがあって、日本って思えない。 日本っていうとどうしても起伏があって、高層の建物があって、そうじゃあなくて、大潟村っていうのは、非常にスペースが広いでしょう。地面が広いから 上にのばさなくても 平面にのばしていく オーストラリアとかね、カリフォルニアそういう感じもするんでね、今まで持ってた日本のイメージと違う感じの風景のある所が大潟村なのかな って思いました。
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楽しみにしてる秋田の方も多いと思うのですが、一言お願いします。 |
うん、もう絶対楽しみにしてください。
僕も秋田に来るチャンスがあればどんどん来たいと思うし、
今年の12月かな、又秋田市でコンサートの企画があるので12月の初めに おそらく 来させていただきます。その時もこっちまで足をのばして、楽しみたいなって思ってます。
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宮之上貴昭さん |
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今回の北村さんとのデュオいかがでしょうか、レコーディングは? |
もう、とても楽しく、やらせていただいています。
緊張感がありますね2人だからね。そういった面で、楽しいし又ちょっと大変なのは、最初から最後まで、ずっと 弾きっぱなしなんでね。北村さんが演奏している時には、私は伴奏しているわけでしょう? 北村さんのソロが終わるときには、1人になってしまうのでね、ただちょっと、弾きっぱなしだっていう所が厳しい所がありますよね。 |
北村さんのクラリネットの音ってどう聞こえるんですか? |
まあ、スタジオの良さも加わって木管っていうのがよくわかる音ですよね。
クラリネットっていうのは金管楽器ではなくて木管楽器なんだって はっきりとわかるとっても Warm(温かい)
な音じゃないかと思いますけど。 |
宮之上さんはこちらによくいらっしゃるということですが、東京とかアメリカとか色々なところでレコーディングされていると思うのですが、こちらの魅力は? |
河内伸介は最初はね、 私のギターの弟子だったんで。 彼が東京に来たときはうちに泊まるし、僕はこのスタジオの出来る前から家族ぐるみのおつきあいをさせていただいています。
そういう面でこちらは、どういう点がいいですか?
僕にとっては別荘みたいな所かな。(笑)
空気はいいし、食べ物は美味しいし、融通はきくしし、ちょっと疲れたら2階にいって、休んだり、ちょっと1杯飲んだり、そういうのが魅力の1つだと思いますけどね。
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宮之上さんの音楽っていうのは、モダンのタイトな感じのビバップで、北村さんっていうと スウィングのイメージがあって、どういう音楽を新しく、出してるのでしょうか? |
最初はね、北村さんのバンドにゲストみたいな形で加わることに少し疑問があったんですね。
ほんとに私でいいのかな、 というのは、北村さんは ずっと、ご存知のように スウィングの大御所でいらして
ジャズにも色々あって、デキシーランドからスウィングからビバップ、そしてちょっと新しい、フリージャズとかありますけど、僕は ビバップっていう、あるいはモダンジャズの中にどっぷりと、又それが好きだし、
で、北村さんは もう どっちかって言うとスウィングの人なんでね。うまく行くものかな? と思って最初は不安だった。 それで スウィングの事を勉強しようかな と少し思ったんですね、そういう風なスタイルで演奏しなければサウンドしないかな って思ったんですけど 結局 そういう時間も無かったのもそうなんですが、もう合わせずに いつもの自分の演奏のスタイルのままやったらどうかなと思ったんです。
ですから 全然変えてないですね。北村さんとやるからスウィングぽくやる とか、そういうのではなくて、要するに北村さんの欲しかったのも そこなんじゃなかったのかな、僕のいつもやってる音楽の上に乗っかってみたいんじゃないのかな って言う気持ちがあったんで、やってる音楽はスウィングかもわかんないけど、僕はいつもの自分のペースで弾いてます。 |
河内伸介 |
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今回北村さん、宮之上さんのレコーディングのお話が来たとき、どうでしたか? |
いやー、だって、今まですごい人と(演奏を)やって、世界中を駆け巡ってる人で 、ミュージシャンとしても素晴らしい方ですし、、また北村さんが出されてるCDを録音したエンジニアていうのが、世界の一流のエンジニアでフィル・エドワードさんとか日本の菅野さんとか、すごい方が録音されてますんで、ちょっとプレッシャーがあったんです。
でもいざ うちにこられて、音を出されたら、私する事、何も無いんですね。
あんまり音がいいので、 そのままの音をいただいてます って感じで録音させてもらってます。
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どんな雰囲気でレコーディングされてるんですか? |
デュオ 2人しかいませんので、、 両方ともアコスティックな楽器ですので、そのアコスティックな響きをうまくCDに収められたらいいな と思って 録っています。
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このスタジオに関してはどのように言ってらっしゃいました? |
僕も(音の)響きのきれいなスタジオを作りたいと思って、(スタジオを)作ったのですが
スタジオに始めて入るなり、「ああっ、良い音だ」ていうふうに言われたんで、 自分の声の響きがいい音だという意味なんですけどね 北村さん気に入っていただいたみたいで、ほっとしてます。 |
ビックなお二人のレコーディングに携わるっていうのは、緊張するんですか?
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東京にいくらでも すばらしいスタジオがいくらでもあるのに、
わざわざ秋田まできていただいて、こうやって使っていいただくのは夢みたいに、ありがたい事だと思っています。 |
河内さん自身はどんなお仕事をしたいですか? |
お二人が 喜んでもらえるような音を作りたいなって、一生懸命努力してます。
昨日、北村さん何度も 調整室で聴いてもらって、「こういう感じだ」って言ってくださったんで、多分僕の 良い音だな って思ってる音と北村さんがやりたいな と思ってる音がだいぶ似てるんじゃあないか と勝手に僕が想像しているんですけど・・・
北村さんは結構気に入ってくださっているみたいなので、ちょっと、ほっとしました。
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二人がいらっしゃって,ここでのエピソードみたいなのは? |
昔から憧れの人で、私がjazzを聞き始めたころから雲の上の人でしたから、まさか、こうやって一緒にお仕事ができるとは、夢にも思っていませんでした。、
(来られる前は)ちょっと怖かったんですけど、実際会ってみると すごーいやさしい方で本当に すばらしい方だと思います。
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